2022大賞受賞自治体の
取り組み紹介

ふるさと納税を通じて生まれたストーリーや地域で頑張る人を表彰する、ふるさとチョイスAWARD。
ふるさとチョイスは、アワード2022で大賞を受賞した取り組みの魅力をさらにご紹介すべく
実際に自治体を訪れ、地域の活動やそこで暮らす人たちの想いを伺いました。
今回は、チョイスルーキー部門で自治体職員の浪花望さんに発表いただき、
大賞を受賞した奈良県吉野町の取り組みをご紹介します。

人と人とを繋ぐふるさと納税

寄付者と事業者の架け橋を目指して

チョイスルーキー部門 大賞 奈良県吉野町

悠久の歴史と文化が根付く自然豊かな桜の町

奈良県の中央部に位置する人口約6300人の小さな町、吉野町。
桜の名勝地として名を馳せる吉野山には春になると約3万本の桜が咲き乱れ、この絶景をひと目見ようと全国から人が訪れます。町の中心部には清流吉野川が流れ、大峯山系の潤沢な水を活かした米作りも盛ん。また、森林資源に恵まれた吉野は古くから林業の町としても栄え、吉野で生産される杉や桧は最高級の建築建材としても知られています。
豊かな環境に感謝し、自然とともに生きる吉野の人々。この町には、吉野を愛する人たちによって連綿と受け継がれてきた日本の原風景が今も残っています。

01 人と自然に惹かれて吉野へ 入職後はふるさと納税の担当に

2021年10月に吉野町役場に入職し、ふるさと納税の担当になった浪花望さん。吉野町での移住体験に参加した際、町民が地元に誇りを持って積極的に町づくりに参加しているところに惹かれ、自身も吉野町で働きたいと考えたそうです。
歴史深い寺社仏閣や世界遺産、森や湖などの大自然がごく身近に存在する環境の豊かさも吉野町の大きな魅力だと語る浪花さん。しかし現状は、桜の季節以外に町を訪れる人は少なく、町の魅力を十分にPRできていないという問題がありました。

「ふるさと納税を通して吉野町の魅力を発信し、町をもっと盛り上げたい」そう考えた浪花さんは、まずはふるさと納税事業者のことをしっかり理解するため、先輩職員とともに地元のお店や事業者を1軒ずつ回り始めました。そうして率直な意見に耳を傾け、改善の余地がある問題を掘り起こすことで、取り組むべき課題が見えてきたのです。

02 事業者ファーストの 要項改正でお礼の品が増加

地元の方にお話を聞くと、「お礼の品を出したいが、寄付額の設定幅が大きく、金額に該当する価格の品がない」という声が多くありました。その意見をきっかけに、改めて応募要項の見直しを実施。寄付金額を細かく設定するなど計8項目を改正したことで、お礼の品が58品も増加したといいます。
金峯山寺の麓に店を構える「柿の葉寿司やっこ」の龍見さんも、要項改正をきっかけにお礼の品の幅が広がった事業者の1人。「吉野町は定期的に説明会を開き、リアルな声をすくい上げてくれる。すぐに改善に取り組んでくれたので参加のハードルが下がりました」と龍見さん。

100年近い歴史がある老舗「水本米穀店」の店主水本さんも「浪花さんが来てくれて町が明るくなりました。役場の方が町を良くするためがんばってくれているのが分かるので、こちらも応えたくなるんです」と話してくれました。
相手の気持ちに寄り添い、真摯な対応を心がけたことで参加事業者の輪が広がっていったのです。

03 魅力発信ツールとして SNSをフル活用

次の課題は、増加したお礼の品や吉野町の魅力をしっかり発信していくことでした。浪花さんは公式アカウントの運用を始めましたが、SNSに掲載する素材集めに難航し、1人での発信に限界を感じたといいます。そこで、事業者のみなさんに協力を仰ぎ、LINEのオープンチャット機能を活用して町の情報や画像を提供してもらうことに。

吉野葛アイスバーが人気の「かねはな堂」松葉さんは「今の時代に合った宣伝やPRは必要。地元のためになるならなんでも協力したい。公式SNSには、地元の祭に参加した孫の写真も載っていますよ」と笑って教えてくれました。

「草木染めCraftそよご」の幸田さんは、SNSを大切なコミュニケーションの場と捉えています。「いいねの数を気にするより、吉野に興味を持ってもらうための出会いの場、物語を伝える場として活用していければ」。
吉野町では今日も、事業者と自治体が一体となりSNSでの魅力発信に取り組んでいます。

04 まちに足を運んでもらうため 「チョイスPay」を導入

チョイスPayとは、ふるさと納税のお礼の品として寄付額の30%のポイントがチャージされる電子決済アプリのこと。宿泊や食事、買い物などさまざまなシーンで利用でき、実際に町を訪れて使ってもらえるということで吉野町でも積極的に普及に努めています。今では町内25の店舗が加盟。老舗旅館「吉野荘 湯川屋」も加盟店のひとつです。

「お礼の品を送って終わりではなく、実際に吉野に足を運んでもらうきっかけになるのが素晴らしい。役場の方がチョイスPayの利用方法やふるさと納税のトレンドなどを丁寧に教えてくれるので、加盟に迷いはなかったです」と若旦那の山本さん。実際に使用されたお客様からも「吉野町のチョイスPay加盟店を巡ってきます」という嬉しいお声を頂いたといいます。
古き良き伝統は守りつつ、新しい文化を軽やかに受け入れる……その柔軟さが、より魅力的な町づくりへと繋がっているのです。

05 吉野町のファンを増やし より深く繋がっていきたい

「目標は寄付金額を増やすことではなく、吉野町のファンを増やすこと」だと浪花さんはいいます。「ふるさと納税をきっかけに吉野町を知った方に、この町をもっと好きになってもらいたい。そして実際に吉野町に来ていただくことが事業者さんや町の方への恩返しになると考えています」。そのための施策として、自然豊かな吉野町の魅力が詰まった特別動画を寄付者の方だけに限定公開する取り組みを2022年12月から始めました。また、寄付者の方々の率直な声にもっと耳を傾けるべく、お礼の品のレビューを書いていただくための施策を練っているそうです。

ふるさと納税は人と人、人と地域を繋げるもの。より深く、より長くその関係性が続くことを目指し、寄付者とコミュニケーションが取れる方法を模索したいと話してくれた浪花さん。寄付者と事業者を繋ぐ架け橋になるべく奔走中です。

自治体担当者が語る「今まで」と「これから」

事業者さんと一体となり
まちの魅力を発信していきたい

奈良県吉野町 自治体職員 浪花 望

入職してから1年半。最初はふるさと納税の知識もなく右も左も分からない状態でしたが、先輩方と町の方々に助けられてお礼の品の数や参加事業者を大きく増やすことができました。18の事業者と自治体職員5名が参加しているLINEオープンチャットでは今も頻繁に意見の交換が行われ、新しいアイデアも続々生まれています。町の方からも「これからも一緒にがんばりましょう」と言っていただく機会が増え、仕事の枠を超えた絆の深まりを感じています。この、町民の方々のあたたかさと町への愛の深さこそが、私を動かす原動力。吉野町には、外から来た人を歓迎し、あたたかく受け入れてくれる包容力があります。自然に癒され、人に癒されるこの大好きな吉野町の魅力を、これからも発信し続けていきたいです。

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