2022大賞受賞自治体の
取り組み紹介

ふるさと納税を通じて生まれたストーリーや地域で頑張る人を表彰する、ふるさとチョイスAWARD。
ふるさとチョイスは、アワード2022で大賞を受賞した取り組みの魅力をさらにご紹介すべく
実際に自治体を訪れ、地域の活動やそこで暮らす人たちの想いを伺いました。
今回は、チョイス自治体職員部門で自治体職員の佐藤友和さんに発表いただき、
大賞を受賞した宮崎県小林市の取り組みをご紹介します。

自治体と事業者がワンチームに

地域の再燃を生んだチャレンジの輪

チョイス自治体職員部門 大賞 宮崎県小林市

自然の恵みいっぱいの農畜産物の一大産地

霧島連山などの山々に囲まれ、宮崎県の南西部に位置する小林市。初夏には蛍が飛び交い、星空の夜景が広がる自然豊かな地域です。山の麓から湧き出る豊富な湧水や温暖な気候の恵みを受け、マンゴーやメロンなどの農産物の生産も盛んな地域でもあります。また、「全国和牛能力共進会」(通称「和牛のオリンピック」)では宮崎牛の日本一獲得に3大会にわたり貢献してきました。ほかにも、地域性を生かした個性的なプロモーション活動でも注目を浴びる自治体です。

01 キーワードは「チャレンジ」 地域創生の再起へ

役場の一室に設けられた「地方創生研究所」。和気あいあいとした雰囲気の中にも熱のこもった議論の中心にいるのが、佐藤友和さんです。佐藤さんは、かつて小林市が先進的なふるさと納税の試みに取り組んでいた時代に、その旗振り役を務めていた自治体職員。異動に伴いふるさと納税担当を離れていた佐藤さんは、民間企業への出向等を経て3年ぶりに復帰した地域創生の現場で、職員、事業者らが取り組みに対する意欲を失ってしまっていた状況を目の当たりにしました。

その状況を打破すべく、佐藤さんは「まず、チャレンジしていこう」と声をかけ、職員が失敗を恐れずに挑戦できる環境づくりを進め、自らも先頭に立って行動。その足で一軒一軒事業者の元に出向き、その企業の魅力や課題を丁寧に掘り起こしていきました。そんな佐藤さんの熱意に感化され、小林市の人や地域が動き出していったのです。

02 廃棄品が資源に変わる 「コバヤシB印」プロジェクト

事業者を回る中で、菓子製造を手掛ける(株)APPのケーキの切れ端など、廃棄ロスにつながる部分があることを知りました。佐藤さんはこの現状を逆手にとり、規格外のB品を「Better(より良い)」なお礼の品としてリブランディング。フードロス削減プロジェクト「コバヤシB印」をスタートさせたのです。ロスが売上に転換する夢のようなアイデアは好評で、出品が注文に追いつかないほど。役場には「親子でフードロスについて考えるきっかけになりました」という声も届きました。

SDGsにつながる活動の輪は共感を呼び、地元の老舗スーパー「さとうショッピングセンター」ではB印専用コーナーが誕生しています。

03 地域を共に盛り上げる 仲間として伴走する

70年以上続く牧場を持つ(株)ビーフ倉薗と共に、ふるさと納税を活用したガバメントクラウドファンディング®(GCF®)にも官民で連携して挑戦。「高品質の黒毛和牛をより早く、より安定的に消費者へ届ける」ため、設備投資費用の支援金を募集しました。その結果、目標の7倍以上の寄付金額が集まりました。

代表の倉薗裕次郎さんは「GCFでプロジェクトを立ち上げるにあたって、右も左もわからない中、市の担当者が熱心にサポートしてくれました」と振り返ります。「祖父の代からこの土地で育ててきた和牛で世界を目指したい」と意気込みを見せる倉薗さんは、地域一体となった取り組みに確かな手応えを感じています。

04 育まれる地域の一体感、 そして次なる挑戦へ

地域創生の再起をかけ、あらゆるプレイヤーと手を組み、プロジェクトを動かしてきた佐藤さん。そして、佐藤さんとともに奔走する職員たちチームのチャレンジの数々は、着実に地域を動かす原動力になっています。市内唯一の蔵元・すき酒造と地元老舗菓子店・風月堂がコラボした焼酎ケーキと生チョコ。これも事業者と自治体が手を取り合う小林市だからこそ生まれた、お礼の品の一つです。「異業種同士で協働することで地元の魅力を再発見できました」とすき酒造代表の兒玉昇さんが話すように、自治体を起点として地域の一体感が醸成されています。

また、ふるさと納税の寄付金を活用した、市民や小林市と関わりある人と一緒になり地域の魅力発信に取り組む「ハッシンコバヤシ‼プロジェクト」など、チャレンジの機運を地域全体に波及させる活動も、今まさに動き出しています。

ハッシンコバヤシプロジェクト

自治体担当者が語る「今まで」と「これから」

だれもがチャレンジしやすい“まち”を、
未来に残す

宮崎県小林市 自治体職員 佐藤 友和

自治体と事業者が一丸となった「コバヤシB印」などの様々な挑戦により、ふるさと納税額や関係人口が大幅に増加するという大きな成果が生まれています。今後はこの地域一体となった取り組みや個性ある事業者や生産者の魅力を市内外に認知させることも、私に課せられた使命です。現在は、学生や子どもたちを交えて地域課題を話し合う「未来創造プロジェクト」や「ハッシンコバヤシ!!」などの、ふるさと納税の寄付金を地域に還元する取り組みをはじめています。このような住民を巻き込むプロジェクトを通じて、“まち”に関わるすべての世代の人たちの発信力や課題解決力を高めていきたい。そしてさらなるチャレンジの循環を生み出して、持続可能な地域づくりにつなげていきたいと考えています。

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